東上沿線物語
 
 

【沿線散歩】池袋・エチカ池袋  地下鉄構内に「池袋モンパルナス」の面影

2010/01/21配信  提供:東上沿線新聞

【沿線散歩】池袋・エチカ池袋  地下鉄構内に「池袋モンパルナス」の面影
 東上線起点の池袋は東京メトロのターミナルでもあるが、今年三月、その地下の駅構内に芸術文化の街の薫りを志向する商業施設、「Echika(エチカ)池袋」が誕生、にぎわっている。

 昨年六月に開業した東京メトロ副都心線の池袋駅改札口を出たところにあり、スイーツや持ち帰り食品、ファッション雑貨などを扱う計四十のミニ店舗が並ぶ。ワインバーやパウダールームもある。

 東西方向のコンコースの北側に店が並び、南側の壁には街灯風の照明が連なる。一方、「パサージュ・ドゥ・メトロ」と名付けられた、有楽町線改札口につながる通路では、西側に小物を売る露店のような店ができ、天井を横断するアイアンワーク(鉄製の装飾物)が目をひく。

 パサージュは、パリに多い、小道沿いに瀟洒な店が集まる場所だが、こうした雰囲気づくりは、確かに芸術文化の薫りがする。

 エチカ池袋の開発コンセプトは「池袋モンパルナス」。昭和初めに池袋西口から椎名町周辺にかけて、アトリエ付きの貸家やアパートが多く、若い芸術家が集まっていた。その一人、詩人で画家の小熊秀雄(一九〇一―一九四〇)が、芸術家が集まるパリのモンパルナスへの連想から、「池袋モンパルナス」と名付けた。この街の歴史に着目、芸術文化の街に思いを馳せる商業施設を企図したのだ。

 エチカは「駅」と「地下」の融合を意味する造語で、二〇〇五年十二月に表参道に開設した「エチカ表参道」が第一号。ここには、パリのシャンゼリゼ通りのイメージを取り込み、OLたちの人気を得た。

 もっとも、率直に言って、表参道と比べると、今の池袋は、パリの街を連想させる洗練さでかなり落ちるのが現状だろう。しかし、ある種、文芸復興を図るような志は評価したい。

 直接的には「パサージュ・メトロ」の東側の壁面を「ギャラリー」に使い、池袋モンパルナスに関連する展示をしている。小熊秀雄が、夕陽に映える立教大学を描いた絵画が掲げてあり、印象に残った。

 豊島区は、かつてのアトリエ村近くにアトリエ村資料室を開設している(土・日曜開館、無料)。副都心線で池袋から二駅目の千川で降り、訪ねると、当時の息吹がうかがえた。近くには、池袋モンパルナスの良き理解者だった画家の熊谷守一(一八八O―一九七七)の作品を収めた区立熊谷守一美術館もある。同画伯の旧居跡に建つモダンな美術館で、自然の凝視に基づく、独特の純化されたフォルムの油彩や書がすばらしい。周辺のアトリエ村跡や画家たちの旧居を巡る散策コースも設定されている。
(志木市在住 周防洋)

最終更新:2010年1月22日(金) 11:08:12

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開催場所
Echika池袋
団体分類
まちの話題
地域大分類
東京
対象ステージ
指定なし

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