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建物を築く、信頼を築く―スタッフとも顧客とも ダイワ工業(株)専務取締役 小林健蔵氏

3年間の会社勤めを経てダイワ工業へ入社

  「そんなことを考えている余裕があったら営業成績を伸ばせ」
美しい桜並木をかつての上司と営業車で通り過ぎた時、「きれいな桜ですね」と小林さんがかけた言葉に対する上司の放ったそんな言葉。大学卒業後、大手サッシメーカーの営業として3年間勤務していましたが、ひたすら数字を重視する営業姿勢に次第に疑問を感じていた矢先の、そんな言葉に違和感を覚えた小林さんは退職を決意し、ダイワ工業へ(株)へ入社しました。

顧客と信頼関係を結ぶ営業スタイル

  ダイワ工業(株)は昭和38年創業、お父様が一代で築いた鉄骨をメインとした総合建築会社です。ここ数年は需要が高まり、日曜日も休めないほど忙しく業績が伸びているとのうれしい悲鳴を語る小林さんですが、入社当時はほとんど仕事がなく、最初の仕事は畑を耕すことだったとか。そんな時でも社長であるお父様の「いい時もあれば悪い時もある」と泰然自若とした懐の深さが不安な小林さんを支えていたのでしょう。一連の耐震強度の問題以降、鉄骨への注目度が高まり、オールマイティにどんな土地でも建てられる鉄骨建築はまさに時代のニーズに合っていました。常務である弟さんも一級建築施工管理技士の資格を持つスタッフとして経営を支えています。今では順調に業績を伸ばし、《何でも相談できる》地域の建築アドバイザーとしての地位を確立しました。
ダイワ工業(株)の一番の強みは顧客の層の厚さにあります。一般的なハウスメーカーは《質より価格》を重視しがちですが、一人の施工主に対し親身になって相談に乗り納得の上で施工におよぶ。建築後も10年・20年にわたってフォローする。その結果、「ダイワ工業さんに任せておけば安心」と評価される信頼関係が築かれました。一度信頼を獲得すると、その顧客がまた次のお客様を紹介してくれます。そのようにして築いた人脈は売上のなんと80%がエンドユーザー、20%がハウスメーカー等からの依頼という驚異的な割合に。大手企業傘下の下請でなく、なるべく直に顧客と接したいというダイワ工業(株)は施工も手がけているので、もちろん価格にも自信があります。

そして埼玉同友会へ

  「人と人との信頼関係が何より大切」と繰り返し語る小林さんは、今年度の地区会の社員教育委員長としても活躍しています。「次年度は経営指針セミナーを受講して経営指針取得をめざしたい」との意欲をみせ、同友会にとってもなくてはならない存在になっています。
 そんな小林さんも一級建築士合格直後は、ようやく合格したという自信が驕りへと傾き、社長であるお父様の指摘にも反発し関係が悪化。社内の雰囲気も殺伐としたものになっていたと言います。そんな悩みを抱える中で、仕事上の付き合いがあった知人に誘われて同友会へ入会。仲間と共に学ぶ中で自分に足りない部分にようやく気付いたそうです。
 「このままじゃダメだということはわかっていたけれど解決法もわからなかった。でもいったん気付くと、“やらなきゃならないことはこんなにあったんだ!それまでは何もやらずにただ不安がっていたんだ”と思いました」。
「仕事というのは80%が人間関係。息の合ったスタッフとの共同作業を通して顧客に還元する。従業員が喜びを感じて取り組んでいてくれるか、能力を100%生かせる環境づくりも経営者の使命」。社長であるお父様の人情味溢れる社内風土に子どもの頃から接していた小林さんは、自然と人を大切にしたいと思う感覚が身に付いていたようです。

仕事、家族、そして将来の夢

  私生活では4月の末に第二子が誕生する予定で、家庭人としても家族を支え、「なかなか休みはとれないけれど、休みの日は子どもと遊んだり」と顔をほころばせました。趣味も野球・スキューバダイビング・ゴルフ・エレクトーン(かなりブランクがあるとのこと)・休日には料理と、その多彩ぶりに驚かされました。
将来の夢は?とたずねたところ、「数世代にわたって存在しうる建物をつくりたい。その為の仲間づくりをしたい」と仕事上の展望を語る一方で、「笑われるかも知れませんが」と前置きをして、「妻は結婚前にはアパレル会社で仕入れから販売までを手がけていました。ファッションセンスがあり才能を感じる彼女にいつかお店を持たせてあげたい」と、取材の最後に、自分を支えてくれる奥様への思いを語りました。多くの人と関わりながら常に新しいチャレンジを続ける小林さんはこれからも《愛される建築屋さん》であり続けるでしょう。

会社概要

ダイワ工業(株)
専務取締役 小林健蔵
吉川市須賀305-3
TEL:048-982-2632
FAX:048-981-0543

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