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顧客目線の技術開発で時代の先を行く! (株)日本興産 代表取締役社長 上地護仁

紆余曲折を経て

  大学入学のために沖縄の宮古島から東京へ出てきたものの、父親の事業の手伝いやら何やらで宮古島と東京を行ったり来たりの生活でした。結局大学は中退、その後父が借金を残したまま死去、その清算もそこそこに逃げるようして宮古島を出たのが21歳の時でした。それから、証券マンやビルメンテナンスの仕事を転々とし、最後に行き着いたのがプラスチック製品の成形会社でした。
 プラスチック成形の知識は全くありませんでしたが、体力と何かに打ち込みたい想いだけはありました。入社の半年後、それまでの会社の全売上げに相当する大規模な仕事を受注しましたが、納期を守れない会社の生産体制から、営業職でありながら、深夜や休日に工場で自ら汗を流すことで納期を間に合わせることを続けましたが、あまりの会社のふがいなさに嫌気がさし、辞表を提出することにしたのが22歳の秋でした。
 

そして独立開業へ

  一方、工場で作業するうちに容器へ内容物を充填する仕事の面白さも感じていました。その部門を任せる、との誘いには俄然やる気が湧き出てきましたが、独立採算制でやりたいと社長と交渉し、工場スペースと必要な機械をリースで借り、翌年の年明け早々に独立開業しました。もちろん開業資金はゼロでしたから、知人や友人からかき集めたお金を会社設立と運転資金にあてました。入社1年足らずで辞表を提出した田舎者の若造に、こんなチャンスをくれた社長には、今でも感謝の念を持っております。
 ちょうどバブル真っ最中の好景気だったことも手伝って、会社は順調に売り上げを伸ばし、9年後には社員30人余、成形機13台を持つまでになりました。しかし、形は独立した会社でも内実は独自営業活動を許されない100%下請けの会社。工場は元請けから借り、材料は高額で有償支給、製品売価は低価格に抑えられ儲かるのは元請会社ばかり。そんな方向性が見えずにもがいている時に出会ったのが同友会でした。

同友会との出会い

同友会の皆さんは自分の考えで動き、生き生きと会社経営をしている。刺激的でした。そんな折に、元請会社からグループ化を強要され、事業継続を断念することを決断しました。買い掛け関係を清算し、所有の設備と社員は全て元請会社に移管、身ひとつになって出たのが33歳のときでした。同友会に出会っていなかったらこの選択はなかったと思います。
そんな時、知り合いの成形機メーカーから、成形機をリースで貸すから新しい工場を持って事業を再開しないか?との誘いです。工場スペースだけを確保すれば成形の仕事も確約するというのです。降って湧いたような甘い話でしたが、のらない手はないと。結局その年の秋に新規で立ち上げた工場での仕事は1ヶ月でストップ。要するに成形機メーカーが機械を売らんがための詐欺行為にはまってしまったのです。工場と成形機、それらの家賃や設備費用等借入金だけが残ってしまいました。それから約10年は借金返済のために下請け・孫請けに甘んじながらも猛烈に働きました。やっと借金返済の目途がたったのは父が亡くなった年齢と同じ42歳の頃。ここからが、まさに自分の新たな事業起こしでした。

環境を考えた企業をめざす

   たまたま同友会のツテで、土に還る環境に良いプラスチックの存在に出会い、この素材を使った容器を作るニッチな成形会社になろう!!と新たな目標が見えました。それからはトウモロコシ素材やお米素材をベースにした植物由来樹脂(バイオマスプラスチック=BP)で容器をつくるための研究開発に没頭しました。さらにその過程でBP製容器の弱点をカバーするDLC技術に出会い、この研究が縁で産官学の連携もでき、人との繋がりの大切さを今まさに痛感しているところです。ひとつ繋がると、またひとつ新たな展開が開ける。最近は故郷の宮古島でサトウキビの廃材からリユース出来る容器をつくりだそうとする、これまで構築した技術を結集したエコアイランド構想など、国家レベルのプロジェクトにも携れる幸せを感じています。

新しい構想は酒場から(!?)

 「結局、仕事って人との繋がりなんですよね。それにはお酒が大事な存在ですね!新しい構想はいつも酒場で生まれています!」と酒豪家ならではの発言が。植物由来の容器がこれから主流になるのは間違いありません。それにはDLC成膜の技術が不可欠です。市場は世界にあり。今まさに脂ののりきった上地さんです。

会社概要

(株)日本興産 
代表取締役社長
上地 護仁
羽生市下新郷1052-2
TEL:048-563-3934
FAX:048-563-3937
URL http://www.nihon-kousan.com

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