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安さんの鉄博通信 >> No.30 北陸新幹線、上野東京ライン 開業記念展が始まりました

北陸新幹線、上野東京ライン 開業記念展が始まりました

去る3月14日に北陸新幹線と上野東京ラインの二つの新路線の開業を主体とした大規模な鉄道ダイヤ改正が行われました。前々からマスコミでも大きく取り上げられ、注目されていましたように、首都圏と北陸が直結されたこと、東京を縦貫する列車の運転体系が一新されると言う画的な計画がついに現実となった訳です。
  鉄道博物館ではこの二路線の開通に至る歴史的経過や思い出の路線、列車を振り返り、新線の構造と工事の状況、線路の配置などを分かりやすく見ていただける記念展をタイムリーに開催しております。すでに新路線を利用された方も多いと思いますが、ことさら興味深くご覧いただける内容です。6月21日(日)までの会期です。どうぞお出かけ下さい。

北陸新幹線以前の在来線の歴史

  • 東海道ルートの補完として信越線、北陸線は明治期には開業しております。
  • 信越線経由と上越線経由の直通列車の懐かしいヘッドマークや車両の模型も有ります。
  • 上越新幹線と長野新幹線の開業、越後湯沢乗り継ぎの新線(北越急行線)の開通など。

長野より先の新幹線建設

  • オリンピックのため長野までの部分開業(1997年)。通称「長野新幹線」で運転されました。
  • 整備新幹線として決定以来45年目の開業。産業と観光の振興が期待されます。
  • 今回の開業区間の路線の構造と特徴。地形とトンネルの断面図など良く分かります。
  • JR西日本との分担、車両(E7系、W7系)の概要など。

東京を縦貫する路線の歴史

  • 東京駅開業100年目にして所期の運転系統が本格的に始まりました。東京駅は新橋、上野など方面別に離れていた鉄道の起点をつなぐために建設されたものでした。
  • 昭和のなかばまでは上野〜東京間の回送線を利用して東北線、上越線の一部の列車が東京駅始発  で運転されたり、常磐線の通勤電車が有楽町まで乗入れたりしました。
  • また、高崎線(前橋発)の電車が東海道線・熱海まで1往復していた時代も有りました。
  • これらの列車は後に東北、上越新幹線の建設工事にともない終了しています。近距離の京浜東北線のみが東京を南北に縦貫し、山手線とともに上野・東京間の乗継ぎ輸送を担ってきました。

上野・東京ライン(縦貫線)の構造

  • 神田駅の前後で鉄道用地の余裕の無い区間で高架である新幹線のさらに上を跨ぐ重層構造(3階建て)を余儀なくされ、大がかりな建設工事となりました。高速道路との交差もあり、電車のみが登れる急勾配区間があります
  • 上野から秋葉原までの電車収容線と東京駅北部の東海道線の折返し線とを重層構造線で結んで  開通した訳です。線路の配置が一目で分かる図と運転室からの動画が見られます。

その他

  • 2020年の東京オリンピックを控え、都心から羽田空港直通列車の計画がありますが上野・東京ラインの活用が大いに期待されます。
  • 私も上野・東京ラインを2回利用する機会がありました。ずいぶん便利になりましたが、高崎線や宇都宮線の利用者の方からは「上野から座って帰れなくなった」との声も聞かれます。
  • 上野止まりの列車も残っていますが、「終着駅・上野」と言う時代が終わってしまった様です。
  • すでに二つの新線を利用された方、これから利用予定の方も、今回の展示会を見れば納得、一層身近に感じられること請け合いです。

2015/03/30  鉄道博物館ボランティア  安川彰一