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安さんの鉄博通信 >> No.26 大型鉄道模型を一挙に公開「模型でたどる鉄道史」展を開催中

大型鉄道模型を一挙に公開「模型でたどる鉄道史」展を開催中

鉄道博物館では展示用として縮尺1/15や 1/20レベルの大型鉄道模型を多数所蔵しています。
  それらのうち何輛かは常設展示でもご覧になれますが、およそ200輛におよぶ収蔵品の中から100輌近くを一堂に集めた展覧会が始まりました。
  商品としての小型鉄道模型の展示会は業界で行われていますが、展示用大型モデルの展示会は空前のことと思います。時系列に沿った展示から鉄道の歴史を見られますが、同時に鉄道模型の歴史も実感することができます。
  展示品の説明や解説も記載されていますが、模型は一目みることですぐに理解できます。会期は6月10日(月)までです、珍しい展覧会にどうぞお出かけ下さい。

大型鉄道模型について

展示専用の模型は精密な作りで、全長が2メートル近い物も有ります。また、その車両の特徴の表現に工夫された1輌限りの製作品です。
  価格もおそらく数百万円レベルの高価なものです。模型であるが故に一部をカットしたり、透明にする等の工作が可能で、内部の構造や実物では決して見ることができない部分のメカニズムまで観察できます。
  いずれも細部まで、たとえば運転室のハンドルから窓のカーテン、照明などがリアルに工作されています。当館に展示中の第1号蒸気機関車から最新型の新幹線「E5系はやぶさ」、「E6系スーパーこまち」までが揃います。特にE6系は実物同様に模型すらピカピカの新車です。

模型から見た鉄道車両の発展と進化

蒸気機関車ばかりの鉄道創業時から、電気機関車、ディーゼル機関車、客車、電車まで動力の進歩と分散化、列車編成の変化などが理解できます。
  変わったところでは、除雪専用の車両もあります。昭和初期のロータリー式除雪車は蒸気動力で雪を投げ飛ばす仕組みが解り、しばらく見とれてしまうほどです。
  模型とは言え140年間の代表的な車両、特定の路線でしか見られなかった車両が一堂に揃っています。実物では考えられない世界です。2階の展示室は懐かしさと納得の顔、不思議発見の楽しそうな顔で賑やかです。

模型自体の歴史もわかります

現存する最古のペーパークラフト(紙製の模型)や、銀製の模型もあり、めったに見られないものです。現在の金属製や樹脂製の模型と比較すると工作や塗装の程度はことなりますが、大きい物を縮尺して「見よう、役立てよう、記録しよう・・・」と言う先人の気持ちに心を打たれます。

模型運転会の開催

会場の隣の別室では私たちボランティアが自前の鉄道模型(HOゲージ、Nゲージ)を持ち寄り、お客様に運転を楽しんでいただく特別イベントを開催します。大正時代の古典車輛から最近の車両まで、どの模型列車の運転に当たるでしょうか。どうぞお楽しみに。
  会期中の4月14日までの土日曜日と祭日に10時30分〜12時と13時〜14時30分の間に実施します。

その他

私が当館でボランティア活動を始めてから5年あまりを経過しましたが、今回展示されている模型でも 初めて見た物が沢山あります。随時展示換えが予定されていますので楽しみです。この機会をお見逃しなく。

2013/03/18  鉄道博物館ボランティア  安川彰一