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安さんの鉄博通信 >> No.17 開館3周年記念の特別展「御料車〜知られざる美術品」が始まりました。

開館3周年記念の特別展
「御料車〜知られざる美術品」が始まりました。

おかげ様で、この10月14日で鉄道博物館は開館3周年をむかえました。
  それを記念して特別企画展「御料車〜知られざる美術品」が10月9日から開催されています。
  この構想は開館当初から温められていたもので、企画から展示物まで関連する各社の協賛や宮内庁の協力もいただいて開催することができました。
  規模も大きく、力の入った博物館にふさわしい展示会です。2階の展示室で来年の1月16日まで開催されますが、初公開の多数の美術品を展示するため会期を3期間に区切って主要部分の展示替を行います。夫々にどうぞご期待下さい。

御料車とは

天皇・皇后両陛下や皇太子殿下などが御乗用される専用客車の総称で、大正までの木造車、昭和以降の鋼製車に大別され、延べ15両あまりが在籍しました。入口近くに掲示された特製の系譜図で各車両の歴史が良く分かります。
  御料車は「走る美術品」とも言われています。明治、大正、昭和と、各時代の最高の車両製造技術に加え、天才職人たちが手がけた一点物の世界です。

展示の対象

当館に展示されている6両のほか、すでに廃車された車両から取り外し保存されていた内装品、調度、美術品まで約百数十点におよびます。木彫、七宝、螺鈿、刺繍、金工などの神業といえる精緻にして優美な装飾の数々は貴重なものばかりです。
  皇族の椅子である玉座、テーブルをはじめ、化粧台、置物、ついたてなどの調度品、引戸、壁面の織物、刺繍、金具などの内装品までそれぞれが各車両のために新規製作された物です。
「走る宮殿」とも形容される御料車の美の世界が目の当たりにせまります。

展示の様子

車内各室の模型やモックアップなども用意され、展示品の実際の取付状態が分かります。また、刺繍や織物の原画、走行記録などの掲示物からも理解が深められます。
  順路に沿って歩くうちにどんどん興味がふくらみ、行ったり戻ったりされる方も見受けられます。
  一角には私鉄車両のコーナーもあり、御料車に相当する車両や皇室ゆかりの車両について解説されています。東武鉄道と阪急電鉄の特別車、京王電鉄、名古屋鉄道、近畿日本鉄道の関係車両について興味深く見ることができます。とかく旧国鉄の車両ばかりに圧倒される当館としては、特筆すべきことです。

最初で最後の機会

御料車そのものは当館の6両のほか愛知県の明治村でも2両が見られますが、内部の調度品、備品などの美術品に絞った特別展示はこの機会でしか見られないものと思われます。
  車両の写真や解説書はいくつか発行されていますが、内部に関しては殆ど明らかになっておりませんでした。今回の展示会は周到な準備のもと、費用もかけた渾身の企画です。現在まで、毎年3回ほどの企画展が開催されてまいりましたが、かって無かったボリュームです。
  会期と展示替えの区分は次のとおりです。どうかお見逃しないようご案内いたします。

第一期
〜 11月8日(月)
第二期
11月10日(水) 〜 12月13日(月)
第三期
12月15日(水) 〜 1月16日(日) 

2010/10/16  鉄道博物館ボランティア  安川彰一