地産食彩

□ 酒造工程

1.精米

玄米の外側には、タンパク質や脂肪、無機質などが多く含まれており、これらが必要以上に多いと清酒の味、香り、色に悪い影響を与え、酒の質を劣化させます。そこで酒造りでは、玄米の外側を25〜50%削り取って磨き上げた白米を用います。精米作業は、精米機の金剛ロールの回転数や抵抗などを調節して胚芽や溝が残らないように、しかも玄米と同じ原形に近い形に仕上がるように6時間以上もかけて注意深く行ないます。

2.洗米・浸漬・水切り・蒸きょう

玄米を精米することによって得られた白米は、蒸してから酒造りに使いますが、その前に水洗いして、表面のぬかやゴミなどを取り除きます。洗米後は白米をただちに浸漬タンクに移して新しい水を加え、水に漬けて吸水させます。浸漬時間は米の種類、性質、使用目的によって異なります。一定時間浸漬した後、浸漬タンクから水を排出し、水切りをします。水分を含んだ白米を蒸気で蒸す操作が蒸きょう(じょうきょう)です。蒸すことで米粒内のデンプン組織が壊れて麹菌の繁殖が容易になり、また酵素の作用を受けやすく、溶けやすくなります。同時に白米の殺菌も兼ねています。
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3.放冷

蒸し上げられた米は、麹用、酒母用と、それぞれの使用目的に応じた温度にまで冷まされます。昔はむしろ等に広げ外気で自然冷却したのですが、現在ではベルトコンベア式の蒸米放冷機が広く用いられています。
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4.酒母

酒造りにおいて、健全かつ順調にアルコール発酵を行わせるためには、無数の純粋な清酒酵母と、酒造りの初期に雑菌の繁殖を抑えることのできる多量の乳酸が必要です。その目的のために酒母(しゅぼ)が造られます。酒母は乳酸を得る方法によって生もと系酒母と速醸系酒母に分かれます。既製の乳酸を添加し7〜10日間で造る速醸系酒母に比べ、生もと系酒母は操作が煩雑で難しく、日数も倍以上かかります。生もとは乳酸菌など様々な微生物のバランスのとれた働きにより、自然に乳酸が蓄積し、雑菌が淘汰され、多量の清酒酵母が純粋培養されます。また、アミノ酸やペプチド(アミノ酸が連なった状態)の多い、コクのあるお酒を造るのに適した酒母だといえます。さらに、生もとで育った酵母を用いてもろみを仕込んだ場合、発酵はもろみ末期になっても衰えにくく、このような発酵の経過は、辛口のお酒造りに適しています。また、もろみ末期の、アルコールが非常に多い環境下でも酵母が死滅しにくく、雑味成分の少ないスッキリしたお酒になります。
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5.醪(もろみ)の製造

酒母・蒸米・麹・仕込水などを加え醪製造を開始します。添え仕込・おどり・仲仕込・留仕込と4段階に分かれているところから、俗に4段仕込とも呼ばれます。この仕込段階でもろみの温度が大変大事で1日に何度も温度を測ります。
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      <添え仕込>                         <仲仕込>                   <留仕込>

6.滓引き(おりびき)・濾過・火入れ

熟成醪は圧搾機に入れて液体部分(新酒)と固形部分(酒粕)に分離します。その後不溶性のタンパク質、デンプン等を沈殿させて滓引きを行います。滓を取り去って清澄した酒は濾過した後、殺菌と残存酵素を破壊するため、約65℃で火入れされ、熟成のためタンク内で約半年間の眠りにつきます。
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