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『母性の経営』生かしてオンリーワンの企業へ (株)伊藤商会 代表取締役 伊藤豊女

   「競争はしません。小さいオンリーワンを積み重ねていくのです。」朗らかな笑顔が印象的な伊藤社長の人柄が色濃く反映している伊藤商会。
 小さいオンリーワンは、今ではどこにも負けないオンリーワンと成長し、注目を浴びています

経営の表舞台へ

 伊藤商会は、1973年に建設機械の販売及び修理からスタートしました。 1979年に有限会社を設立、2007年3月にはさらなる向上を目指して株式会社に改め、今年で30周年を迎えます。今では、重機土木工事、建設機械各種の販売・レンタル、オペレーター派遣を一貫して行っています。
 以前、伊藤社長は、事業所内で経理の仕事を担当しており、前社長は営業(表の舞台)で、外にでる必要が無く縁の下の力持ちと言う立場でした。ところが、夫である前社長が亡くなり、突然右も左もわからない中で表舞台に立たなければならなくなったのです。

困難な次期を支えてくれた社員

  一時期精神的に不安定になり会社に来るのが本当につらい時期もありました。その間、会社と社長を支えたのは社員でした。先代が常に言っていた「企業は人なり」という精神がすでに根付いていたともいえます。そんな社員は、今では家族のような存在で(泊まりでゴルフに行くこともあるのだとか!)事業所内のコミュニケーションは円滑であり、皆がお互い思いやりをもって助け合う風土が出来ています。「皆が良くしてくれるからありがたいです。だから私でも社長が務まるのですよ」という伊藤社長は、今では会社に行かないと不安で仕方がないのだそう。

思いを込めた理念の作成 

伊藤社長は、同友会の仲間に「経営理念が大切」と強く勧められ、2009年経営指針セミナーに参加します。理念の作成には、「顧客に支持される事、関係ある同業他社と共存共栄を目指すこと」、「自社の持つ人材、設備、技術を最大限に活用し、土木建設業界で光輝く企業でありたい」という思いが込められています。

技術への信頼が受注へ

   伊藤商会の強みは何と言っても、独自の機械を加工する技術です。「いかに現場で能率的な作業が出来るのか」を考え機械を加工し、その現場にあった機械をつくることによって工期を短縮することができます。その技術は「日本全国で1台しかない」とホームページをみて某大手建設会社から仕事の依頼がくるほどで、雑誌の取材や掲載など注目されています。また、エコにも力を入れており、ハイブリットの機器の導入、産業廃棄物関係の資格も取得しています。

理念を共有する難しさ

 オペレーターは外注で派遣をしていますが、「技術力を持った人間を少しでも集めないと何の武器にもなりません」と社員さんの厳しい目で選ばれています。「技術力」はもちろんのこと、人格も大切であると言います。お客様にとって派遣された技術者は、伊藤商会の社員も同然で、言わば「伊藤商会の看板」を背負っているのです。仕事先や知り合いの紹介が大半で、大体の技術力と人間性はある程度まで把握した状態で入社してきているので安心して任せていられると言いますが、ひどいときは機械ごと返されることもあるとか。どんなに機械が良くても動かすのは人間なのです。伊藤商会がどのような理念を持って働くことを伝えていくことは、必要不可欠です。経営理念は毎朝の朝礼で社員と唱和をしていますが、オペレータ−の皆さんは自宅から現場の行き来だけで、全員が集まるということがありません。そのためなかなか理念を伝えることができないことや意見を聞く場がないことが課題の一つです。

『母性の経営』の可能性

   「失敗から学びたい。アンテナを広くして一つでも知識を吸収して会社に還元したい」と同友会の全国行事や様々なセミナーに積極的に参加する伊藤社長の謙虚な姿勢と、男性が圧倒的に多い業界の中で「母性の経営」ともいえるような人柄も今の伊藤商会の魅力の一つではないでしょうか。“人と人とのつながり”を大切にするその姿勢は、今まで同業者に御願いをして発注していた自社ロゴのカッティングシートなど、同友会のつながりで会員企業に直接御願いが出来るようになったことなどの効果もあるようです。今後も、現場の声を聞き、他社ではまねできないサービスと提案を強みに、土木建設業界を照らす光となっていくことを期待します。
 

経営理念

 私達は人と人とのつながりを大切にし、最強の技術集団として土木、解体工事でオンリーワンを目指します
 「出来ません」「ありません」「解りません」と私達は言いません、お客さまのあらゆる要望に応えられる企業を目指します
 私達は企業活動を通して社会貢献し社員1人1人の幸福を目指します

会社概要

  (株)伊藤商会
代表取締役 伊藤豊女
新座市畑中1−8−34
TEL:048−481−1223
HP:http://www.ito-sho.co.jp/index.html

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